Halie

Happiness and love in eternity

LA発. ヘルシンキ行き


コーヒーが飲めない。

24歳。
友人が缶コーヒーを飲んでいたりする。
街中を歩くとコーヒーチェーンのお店をよく見かける。やたらにスタバ。
映画の世界、やたらとスタバ。
ドラマの世界、やたらとスタバ。
バラエティの世界、やたらにスタバ。
コンビニにもできた。
わたし、コーヒー飲めない。
コーヒーカップに乗ってぐるぐるハンドルを回す。
ぐるぐるぐるぐる。目に入る瞬間瞬間の世界がもうコーヒーを飲む大人たちなのだ。

6歳。
それでも私は幼稚園児のときにはジョージアの缶コーヒーが大好きだった。
「コーヒー飲み過ぎたら大きくなれないよ」
車の後ろでコーヒー片手に前のめりに身体を運転席と助手席に挟みながら、お母さんに言われたひと言に大ショックを受けた。
その後の記憶はない。
いま思えば、大きくなれないってなんだよ、そんな殺し文句に6歳のわたしは、コーヒーを飲んだらすぐ死ぬ。と解釈したのだと考えた。

18歳。
恋人がジムジャームッシュのコーヒー&シガレッツを観せてくれた。
リミッツオブコントロールを劇場で
ナイトオンザプラネット
ダウンバイロー
ストレンジャーザンパラダイス
そして、コーヒー&シガレッツ
わたしもおんなじくらい映画が好きだったけれど、わたし以上に映画に溺れていた恋人は、観やすいようにと隣で独自の解説をしながら、ジムジャームッシュについて俳優について熱く話した。
わたしは聖徳太子かの如く器用だった。
ジムジャームッシュの映画世界はわたしにとても合っていて、すぐ好きになった。
特に、ロベルトベニーニには歓喜した。
アイスクリーム!ユースクリーム!

21歳。
遅咲きながら煙草を始めた。
これまでの嫌煙家ぶりはどこかへ飛んで行き、禁煙中の人が他人の副流煙をすごい勢いで嗅いでいるのを見たときは、納得しながらも唖然した。
たばこを吸い始めると、映画はもっと楽しくなった。
すごく美味しそうに吸っている人もいれば、かっこよく吸っている人もいる。
哲学的に見ていくと幅が広がって、タバコのカンバセイションにも付いていけた。
好きな音楽にも映画にもリンクする生活は楽しい。なにより1番大きいのが大人へのバージョンアップな部分。わたしはマセガキではなかったから余計に魅了された。

23歳。
知っているけど知らないおじさんにパックのカフェオレを貰った。でもわたしは飲めないので周囲の人にあげたが、結局わたしの元に戻って来た。
うん。これはなにかしらの暗示が働いているな、と思って怖かったけど飲んでみた。
味が甘くって全然飲めた。占めた。ラッキー。
わたしはまたバージョンアップした。
それからは、コンビニだったりスーパーでカフェオレを買うのが日課になっている。
当然、映画を観ながら飲むことも出てくる。
主人公と共に、煙草をくゆらせカフェオレを味わう。ん〜〜〜。なんという幸福。これはきっと3D映画でも味わえないよ、自宅映画だからかな?...。

24歳。
この間、はじめてスターバックスコーヒーチェーン店。スタバに偶然入っちゃった。
ひとりだと絶対に行けないハードルがとてつもなく高いお店。メニューが、まばたきを多くさせる。友だちにこれはなに?これはなに?と指をさしながら聞く。
1番理解できて、飲めるカフェオレのようなものを頼んだ。出来上がりが想像出来ない。
周りを伺うと、みんなおんなじような飲み物じゃないか!出来上がるまでの不安とスタバに来ちゃった。の高揚感がわたしをもっと訳がわからないところに持ち上げる。
出来上がりを受け取って吟味する。なんか色々入っていてヨクワカラナイ。でもカフェオレの味がする!ああ、とまた知っている味と出逢えてわたしは安堵した。
これで少しは、社会に貢献できたし共にバージョンアップだ。
これからどんどん映画の世界の住人にもっともっと近付いていってるわたし。貞子じゃないけど、映像の世界と現実の世界を橋渡しするユニコーンになって、いつかはブラックホールに吸い込まれてしまうような映画に逢いたい。





終わりに。
コーヒー&シガレッツと煙草とひとつしかないキスを.
BGMは、vampire weekendでvampire weekend.